館長だより

館長だより No.56 10月~12月の町内木育推進事業(小中高の取組)

お久しぶりです。館長の岩佐隆之です。10月後半から12月前半は、秋の遠足シーズンと木育授業、町内外のイベント参加、学校関係の出張が続き、久しぶりの「館長だより」となります。「書きたいことはいっぱいあるのに書けないもどかしさ」と葛藤しながらも、忙しくも充実した日々を過ごしました。これから少しずつ、この間の出来事をお伝えしてまいります。

町内の小中学校での「木育支援事業」や那賀高校森林クリエイト科との交流学習>

〇「トントンくぎ打ち、のこぎりザクザク」<相生小3年・10月17日(金)・森林工房>

初めて金づちやのこぎりを使う学習で、幼い頃から知っている子どもたちとの授業は本当に楽しかったです。まず、金づちやのこぎりの使い方を練習し、自分の好きな形に切って、くぎやホットボンドで固定していきます。私たちスタッフだけでなく、4名のおもちゃ学芸員さんも子どもたちのサポートをしてくださり、子どもたちは休憩も忘れて、作品づくりに集中していました。後日、頂いた感想からも、子どもたちがとても満足していたことがわかり、私たちもほっとしています。

〇「特殊伐採見学・体験」<相生小5年・10月29日(水)・あいあいランド>

「那賀地域林業担い手対策協議会」の協力により、昨年後から実施している森林学習です。講師は、徳島県特殊伐採研究所の高木さん。高木さんの実演を見学した後は、ツリークライミング体験。重い装具をつけながらも、見事なロープワークに拍手が起こりました。そして、全員が「木のブランコ体験」を楽しみました。将来の「林業の担い手」になってくれることに期待しつつ、紅葉が始まったあいあいランドの秋を満喫。11月19日付「徳島新聞」もご覧ください。

〇県農業系高校リーダー研修<11月5日(水)・当館及び相生森林美術館>

県内の農業系高校6校(池田高等学校三校 · 小松島西高等学校勝浦校 · 城西高等学校 神山分校 · 城西高校 · つるぎ高校、那賀高校)

〇「秋見つけ・ネイチャークラフト」(1・2年)<相生小11月11日(火)・鷲敷小12日(水)・木頭小19日(水)、あいあいランド・森林工房>

町内全ての小学1・2年生が行った授業で。当館裏山の「あいあいランド東公園」で。ドングリなどの木の実や枝、色づいた木の葉を集め、森林工房で思い思いの作品を作っていきました。いずれの回も、多くのおもちゃ学芸員さんのご参加がとてもありがたかったです。木頭小には「那賀地域林業担い手対策協議会」のご協力により、連記かよこ様が講師として参加くださり、代表的な木の実の名前や特徴等を詳しく教えてくださいました。工房でのクラフトは、こちらもどの子も集中して、自分だけのクラフト作りを楽しんでいました。上に高く積む子、横に広く積む子、紅葉した葉や花を添える子等、学校や個人によって作品に違いがあるのも興味深かったです。

〇那賀高森林クリエイト科2年生インターンシップ<11月13日(木)・14日(金)>

開館以来、毎年受け入れているインターンシップ。今年は、男子3名です。いずれも野球部で、礼儀正しく、前向きに活動に取り組んでいました。幼稚園から知っている子もいて、その成長ぶりがとても嬉しく、頼もしかったです。親子遠足で来館した幼児さんとのやりとりには苦労していましたが、モクトレインや魚釣りに誘ってみる等して、次第に打ち解けていました。先輩おもちゃ学芸員の森さんの「継続は力なり」の言葉に感銘を受けたり、「木の花のワークショップ」では素敵な作品を仕上げたりするとともに、館内清掃やイベント準備などにも真面目に取り組みました。2日の交流学習でも声をかけてくれ、那賀町や日本の未来を担う彼らの活躍が楽しみです。

〇相生小1年と那賀高森林クリエイト科3年との交流学習<12月2日(火)・那賀高>

今年で2回目の交流です。学校紹介ビデオ視聴と質疑応答の後、3つの専攻に分かれて体験しました。林業実践では「グラップル等の林業機械操作体験」、地域資源では「レーザー加工でのコースター作り」、木材加工では「地元杉材ペン立て作り」です。和気藹々と楽しく、そして安全に慎重に、高校生に教えてもらいながら体験していた中学生。実際に機械を自分で動かした体験が特に楽しかったと話していた中学生。早い時期から地元高校の授業を体験することで、2年後の進路選択につながってくれればと願っています。

〇「糸のこスイスイ・進め!糸のこ探検隊」<鷲敷小5年・11月16日(火)・鷲敷小>

初めて電動糸のこを使う子どもたち。森林工房から電動糸のこを4台持っていき、合計6台で実施。おもちゃ学芸員さんも4名参加し、うまく切るコツやケガをしないように声をかけてださいました。「組み木になる切り方」を教わった子もいて、喜んでいました。私が担任をしていた頃は、事前に下書きをした線に沿って切って、パズルや壁かけ等をっていましたが、今は、加工しやすいMDF材を使って、下書きなしで自由に直線や曲線に切っていき、ひらめきと想像力を生かす「現代アート」ができあがりました。子どもたちの独創性にはいつも感心させられます。

〇「積み木で建築体験・丸太で製材体験」<鷲敷小4年・11月18日(木)・館内木おけひろば>

「積み木で建築体験」はグループ対抗で、大工さんの仕事を体験します。まずは「すぎのこつみき(木頭杉)」を使って、できるだけ高い家を作ります。次は、「クミノ(組み木のおもちゃ)」と「すぎのこつみき」で、台風に負けない(うちわであおいでも倒れない)強い家を作ります。多くのグループが積み方を工夫して、頑丈な家を作り、なかなか倒れませんでした。「丸太で製材体験」では、建築材料ごとに切り分けた大きなスギ丸太(75年)をパズルのように組み合わせていきます。今回のために、教材として2セット用意しましたが、大人でも難しく、最後は写真を見ながらな完成させた子どもたち。1本の大木がさまざまな建築材料に使われていることや端材がチップやMDFに加工されていることにも気づいていました。徳島県チャンネル「大工の仕事」も視聴し、釘を使わずに「組み木工法」で家を建てる方法があることも学びました。授業後は、館内で「林業体験」や「ナイヤガラの滝」、自由遊びを楽しみました。

〇3学期の木育授業

3学期は、5年生の製材所見学や6年生の在校生に贈る卒業記念品や卒業式で自分たちの胸につける「木のコサージュ」づくりを行います。森林が95%を占める那賀町で暮らす子どもたちには、さまざまな授業を通して、木に親しみ、木の良さを五感で感じる中で、木とともに生きる豊かな生活を送ってほしいと願っています。